ハーフ妻と帰国子女夫のワンダーラスト日記

ブータン生活、デュアルキャリアカップル、遠距離恋愛、別居婚、アイデンティティ、言語など

バイリンガルの感覚を掴んだ話

ハーフだけどバイリンガルじゃない、なんて先人のハーフたちが散々主張してきたことで、そろそろ世間に浸透していてもらいたいけど、実際はどうなんだろう。

 

とにかく私は日本生まれ日本育ち、家でも学校でも日本語だったから母の母語である北京語は話せない。ティーンエイジャーになってから英語やフランス語や中国語などを学んで、他言語を話すという感覚は分かるけれど、物心つく前から日本語と北京語の両方で育てられた、みたいな生粋のバイリンガルの、自然に言語スイッチが変わる感じは一生分からないと思っていた。

 

進学して家を出た。家を出たことで母と話す機会がぐっと減った。母は日本語が目に見えて下手になった。そして私は離れて初めて、母が日本語にはない日本語を使っていることに気がついた。

 

発音がいかにも外国人で片言なのは昔からだが、そもそも日本語にはないオリジナル単語をちょいちょい使っている。例えば、比較級。「○○より××の方が大きい」などと言う場合、母は「より」の位置がいつも間違っている。あとは「先日」を「せんじつ」ではなく「せんにち」と読んだりもする。

 

母と一緒に住んでいた頃の私は、母の言っていることが分からないということはまずなかった。しかし親元を離れてから電話で母と話していると、「ん?」とたまに思うことが起こり出した。母との会話も、一定の距離を置いて見ることができるようになったのかもしれない。

 

そう、母と一緒に住んでいた頃の私は、頭の中で意識することなく、母のオリジナル表現を前後の文脈から判断して瞬時に正しい表現に変換していたのだ。

 

バイリンガルとはなにも、2つの国の言語を理解出来ることだけではない。自分が使うのとは別の方言だって、自分にとってみれば未知の言語だし、個人レベルのオリジナル表現だって立派なひとつの言語だ。気がついていないだけで、私はとっくにバイリンガルだった。というか、我々みんな多かれ少なかれきっと、バイリンガルやマルチリンガルなのだ。